建築士をしていると、「成長させていただいた物件」って必ずあると思うんです。
私にとってその節目は定期的に来るのですが、
このお家はまさにそれでした。
一応念のためお伝えしておきますが、怒られて成長したとかそういう話ではありません。
お施主様(ご主人様)はとにかく優しい性格で、物腰の柔らかい方。
奥様は、丁寧でおちゃめで可愛らしい方。
建築が大好きで、
とにかく考えが建築士寄りなのです。
一般的に天井高は「高くしたい」と言われることは多いです。
そうでなく、「一番良い高さを一緒に考えたい」と言われました。
確かに、天井高は高ければ良いという物ではありません。
部屋の広さに合わせた適切な高さという物があります。
有名な建築家の勉強会でもたまたま学んだ事があったのですが、
各部屋の高さを低く抑える事で、カッコ良いプロポーション(←本当にそう言ってた)を保つことが出来ます。
また、外観もオシャレに見えるのです。
天井高が低い方が広く感じるという説もあります。
↓簡単に天井高を比較できるイメージ図を作ってみました。
漆喰の美しい天井に、何も設置したくないとお客様。
そう、照明器具もできるだけ入れたくないと。
一般的にはダウンライトが多いのですが、
このお家では壁付け照明(ブラケットライト)をメインにしました。
隠し扉風にして、ドアが無さそうな壁がドアになっているイメージで造りました。
平面図から立体を想像するのは、誰にとっても難しいです。
私自身もこの世界に20年近く居て、今でこそ平面図から立体を想像できるようになりましたが、
元々立体を想像するのは苦手中の苦手でした。
(階段周りはいまだに難しいです)
お施主様は、平面図の段階から壁の見え方にこだわっていました。
こちらも壁一面の見え方にこだわりました。
照明の配置、窓の配置や大きさ。
1つずつ丁寧に考えていきました。
寝室、子供室、トイレ…どの空間も抜かりなく考え抜きました。
今まで設計・担当した物件は100軒以上あります。
数は多くなりましたが、それでも1軒ずつ全てに思い出があり、
決して忘れる事はありません。
担当した時は独身だった為、夜な夜な打ち合わせしたり、
23時頃にお客様から不安になった連絡が来てすぐお返事したりと、
お客様とのお家作りが私の生活そのものでした。
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