大阪で、とある建築家さんと話しました。
その時に「有名な建築物を見に行ってる?」と聞かれ、
沈黙の後、私はこう答えました。
「有名な建築物を見ても、自分の設計にどう活かして良いかわからないんです。(だからあまり行きません)」
その時にこんな事を教えていただきました。
「建築物を見る時に『どう活かそうか』とか『自分のモノにしよう』とかそういう気持ちで見るんじゃないねん。その建物に入って自分がどう感じるかやねん。」
その時に、一気に気付かされました。
自分は完全に建物を楽しむ事を忘れていたな、と。
感じ方に正解はありません。それなら私でも出来そうだと思いました。
映画監督が、他の映画監督の作品を観て純粋にストーリーを楽しめないように、どうしても「業界目線」で考えてしまいます。
しかし、
建築家である前に、建築物にとって私は一人のお客さんなんですよ。
もっと純粋な気持ちで、建築物を見ようと思いました。
翌日に、急きょ安藤忠雄氏が設計した建築物を検索し、見に行く事にしました。
ここが司馬遼太郎の、実際に使われていた書斎です。
緑に囲まれています。
庭を眺めながら小説を書いていたのでしょう。
お庭を歩いていくと、記念館の入口が見えてきます。
この記念館が安藤作品です。
これはステンドグラス。
ここから光が差し込んでいます。
せっかくの素敵な建物ですが、撮影禁止。
それならスケッチはOKでしょう、という事で描いてみました。
たくさんの本、本、本!その数なんと2万冊だそうです。
司馬遼太郎の自宅には6万冊の本があったらしいので、この3倍。
凄い。
しかも建物自体が湾曲していて、一見まっすぐに見える本棚も絶妙なカーブを描いていてさすがだなぁと思いました。
私なら、建てる人(大工さんや家具屋さんやその他いろいろ)の事を考えてしまい、真っすぐに設計すると思うんですよ。
建築家だなぁと思いました。
上の方には一般の人は使えない、渡り廊下のような通路があります。
こういう高さを活かした設計は、楽しさがあって良いですね。
自分が行けないからこそ、行った姿を想像して、ワクワクします。
階段もオリジナルで創っていました。
左右で踏み台の高さが違い、面白いです。
ステンドグラスからは光が差し込んでいました。
ほんのり外の植物の緑が見えるのも良いなと思いました。
建物の奥の天井に、坂本龍馬の影がぼんやりと自然に浮き出ているんです。
自然にこうなったんだとか。不思議です。
見に行って良かったと思いました。
もし、「2万冊の本を展示したい」と依頼されたら、私ならどんな展示をするかな、と思いました。
縦に高く展示しようとするだろうか、と。
2万冊の本を、このように大迫力の空間として形にしていただけて、安藤さんに感謝ですよ。(どの目線)
たくさんの建築家さんの作品を見る事で、自分の引き出しが増えると思います。
これからは、有名建築家さんの作品を少しずつ感じに行こうと思いました。
スケッチも出来る限りやって行きたいと思います。
追記
司馬遼太郎さんの「二十一世紀を生きる君たちへ」という若者へのメッセージは、心に沁みました。
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