実は先月から、縁あって近畿大学の教授たちの講座を受けられる事になりました。
教授の講座を受けられるなんてとても貴重な機会だと思い、楽しく受講しています。
そこで勉強した内容をレポします!
家づくりをする時には必ず「断熱」というキーワードが出てきます。
そんな中でも「断熱ぅ?そんなもん要らん!」と、断熱を頑なに拒む意見も一定数あります。
そのような方に向けた、「断熱大事ですよ~」というテーマです。
アンチ断熱化さんの意見
1.断熱化は北国の技術であり、暑い地域には不向きである。
2.断熱化は住宅価格をさらに高くし、住まい手の負担が増える。
3.高断熱住宅で育った子供は免疫力が低い。
4.高断熱住宅は、暮らし方も難しいので万人向けではない。
5.人は自然と向き合って暮らすのが基本で、人為的な環境での暮らしは健康ではない。
教授の意見
→ いいえ、暑い地域でも断熱はとても大切です。
「冷房病がつらい」「冷房が不快」と感じる方もいますが、
その多くは“冷気が直接体に当たること”が原因です。
高断熱の住まいでは、冷気が部屋全体にやさしく広がり、冷房の風に直接当たらず快適に過ごせます。
これが本来の「冷房」のあり方。
ちなみに「冷房」の「房」は“部屋”という意味で、本来は部屋そのものを冷やすことを指します。
一方で、こたつや電気ストーブのように体を直接温めたり冷やしたりするのは「採暖」「採冷」と呼ばれます。
→ 確かに初期費用は高くなりますが、長期的にはお得です。
良いものはそれなりの価格がしますが、高断熱の家は10~20年で元が取れることがほとんど。
例えばドイツでは、住まいを“建設費”ではなく“30年間のトータルコスト”で考えます。
一方、日本ではまだ「建てる時のコスト」だけに注目しがち。
これは作る側も、住んでからの光熱費やメンテナンスのことを十分に理解・説明できていなかった背景があります。
国際的には、省エネ効果の高い「樹脂サッシ」が主流です。
長く住む家だからこそ、初期費用だけでなく、ランニングコストにも目を向けてみてください。
→ 年齢や住宅環境よりも、日々の生活習慣のほうが大事です。
「3歳までに汗をかかせないと、汗腺や免疫力が育たない」と言われることがありますが、汗腺は年齢で決まるものではありません。
人の汗腺はふだん眠っており、暑くなる6月頃から徐々に開いていきます。
適度な運動や外遊びの習慣があれば、断熱住宅でもしっかり汗はかけるし、免疫力や体温調整機能もきちんと育ちます。
→ 難しいのは“住まい手”ではなく、“設計”のほうです。
「高断熱は扱いが難しい」と言われることがありますが、
本来は設計者やプランナーが、“暖房のある暮らし”を丁寧に提案すればいい話です。
住まい手に“難しさ”を押しつけてはいけません。
あるご家庭の体験談をご紹介します。
結果は歴然。体への負担も、育児のしやすさも、まるで違ったそうです。
昔は「寒ければ着こめばいい」という考えが一般的でした。
でも実は、人は薄着で過ごせるほうが体にも心にも健康的。
冬でもTシャツで過ごせるような家なら、自然と活動量も増えます。
高断熱化された家は、居場所がリビングに限られません。
廊下や脱衣室、トイレまでもが快適で、「家全体が居場所」になります。
そして多くの人が、「体調がよくなった」「風邪をひきにくくなった」と実感しています。
→ 自然は“感じる”ものであって、“我慢する”ものではありません。
確かに、四季や自然の変化を感じながら生きることは豊かです。
でも、毎日の暮らしで常に自然にさらされているのは、ただの“ストレス”になることも。
だからこそ、日常と非日常にメリハリをつけることが大事です。
自然を感じたいなら、週末にキャンプに行けばいい。
毎日暮らす家は、健康で快適であることが何より大切です。
実際に、室温が安定した家では医療費が下がるというデータもあります。
我慢や根性で寒さを乗り越える時代は、もう終わりにしませんか?
「採暖」ではなく「暖房」——
体を直接温めるのではなく、部屋を快適に保つ暮らし方を、これからの当たり前に。
夏は涼しく、冬はあたたかく。
家の中が一年中快適だと、家族の笑顔も自然と増えます。
断熱は目に見えないけれど、確実に「暮らしの質」を支えてくれる大切な要素です。
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